若年層に強い日経225ミニの話
優秀な経営者には、会計は苦手でもおさえるべき数字はちゃんとおさえている人が多い。
その数字は、自社分析でいうと、原価を左右するある部品の調達価格であったり、重要な商品の在庫数量だったりする。
また他社分析だと、ライバル店の商品アイテム数であったり、駐車場の駐車台数、バイトの時給だったりする。
たとえば、不動産業者は、ライバル業者が広告に載せている物件の価格と同じくらいに、その売り出し日にも注目するらしい。
どれだけ売り出し日から日にちが経って広告を出しているかで、売るのに苦労している度合いがよくわかるからである。
私も、新築マンションのチラシを見るときは、「総戸数」と「販売戸数」をよく見ている。
「販売戸数」が多ければ、それは売れ残っているということなので、値切れるチャンスがあるからだ。
つまり、「ある特定の数字を定期的におさえること」、これが分析の極意であり、これができるかどうかが数字のセンスの有無につながっていくのである。
株式運用のプロが、日本の日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)だけではなく、アメリカの雇用統計、失業保険新規申請件数、乗用車販売台数といった、一見日本に関係なさそうなものにも注目しているのは、やはりそれがプロの目から見ておさえるべき重要な数字だからである。
決算書で使う数字のセンス決算書を見る場合でも、数字のセンスが必要となる。
去年の数字と見比べること、同業他社の数字と見比べることはもちろんのこと、ある特定の数字を定期的におさえることが肝心である。
そのある特定の数字とは、当期純利益だったり、自己資本比率、増収率、フリー・キャッシュ・フローだったりするだろう。
どれにいちばん注目すればいいのか、ということは一概にはいえない。
それは、景気の状況、会社の規模の大小、社内の人間か社外の人間かといった立場などによって注目すべき数字が違ってくるからである。
たとえば同じ利益でも、本業の状態を知りたい社買が注目すべきは営業利益であり、自身の経営手腕を知りたい社長が注目すべきは経常利益である。
はたまた、配当が気になる投資家が注目すべきは当期純利益である。
同じ数字を扱う学問でも、基本的に正答がひとつしかない数学とは違って、会計学ではいくつもの正答が存在するのである。
であるから、決算書というまさしく「数字の壁」を前にしてただ怯むのではなく、「いまの自分にとっていちばん大切な数字はなにか?」「どの数字をおさえるべきなのか?」ということをじっくりと考えていけばいい。
すべての数字を均等に見ようとするから、わけがわからなくなる。
だれもが正しいと答える正解はないのだ。
数字のセンスを身につけるためには最後に、聞いた話をひとつ。
売上高6000万円、正社買3人の会社の社長さんが、「おたくの会社は何人でやっているのですか?」と取引先に聞かれた。
そこでその社長は、「小さいと思われてバカにされてはいけない、バイトの人数も含めてしまおう」と思って、「7人です」と答えた。
ところが、取引先のほうは、「ひとりあたま1000万円も稼げないような会社ということは、この社長の経営手腕も疑わしい」と思い、取引契約の見直しに入った、ということである。
これは嘘つきにはバチが当たる、ということがいいたいのではもちろんない。
数字のセンスがないと損をする、というリアルな話をお伝えしたかったのである。
こうしたことは経営者だけの話ではない。
たとえば、ビジネスパーソンが転職を考える際に、年収がいくら高くても労働時間が極端に長ければ、時給で計算すると割に合わないと気づく場合もあるだろう。
また、返事を出すべきメールが大量にたまってしまった場合、その件数の多さにまずは愕然とするだろう。
しかし、たとえば20通たまっていたならば、「1通につき10分」と目標を細切れにすると、サクサクと進めやすい。
実際、20通なら的3時間ちょっとで完了する計算になる。
これもある種の数字のセンスだ。
賢い主婦は、自然と数字のセンスを発揮している場合がある。
毎日、スーパーのチラシをチェックして買い物をする主婦などがそうだ。
毎日チェックするということは、「前日との比較」「他店との比較」が自然とできているのであり、「ある特定の数字を定期的におさえる」という分析の極意をちゃんとマスターしている証拠である。
これが家電製品や衣料品といった高額商品でもできるようになると、かなりの節約になるだろう。
数字のセンスを身につけようと思うなら、このように、まずは日々の生活のなかの「ちょっとした数字」にも気を配ることが最初の一歩となる。
数字は単なる記号などではない。
ありとあらゆる数字の背後には、ちゃんと「意味」が存在するのだ。
その意味を読み取ることができるようになれば、自然と数字のセンスは身につくものだ。
だから、決算書などの会計の数字もおそれる必要はまったくない。
「その数字が意味するものはなにか?」「どの数字がいまの自分にとって意味あるものなのか?」ということを、ひとつひとつ立ち止まって考えることを習慣にしていけばいい。
そうすれば、「数字だらけだから会計は苦手」といった抵抗感はだいぶ薄れていくはずだ。
そして、そのときになってはじめて、「数字の壁」を乗り越えることができるようになるのである。
会計は、人類の商業活動の発展とともに成長してきたものです。
「取引をきちんと記録したい」「商売の状況をはっきりさせたい」といった要望が会計を形作ってきました。
技術的なことをいうと、もともとは日記帳に日々の取引を単純に書いていたものが、複式記入(仕訳)を取り入れることにより、飛躍的な進化を遂げました。
これが現在の「会計」です。
この会計の発明によって、私たちは目には見えないものも簡単に認識できるようになりました。
「利益」「資本」を使うことにより、目に見える数字だけで商売を理解・判断するよりも情報能力が数段上がりました。
つまり、「利益」や「資本」といった概念を得たことで、会社の状況がひと目でわかるようになったり、自分の会社と他の会社を同じ基準で比較できるようになったのです。
しかし、そうなるまでには、「どうすればあらゆる取引を記録できるのか?」「会社の現状を漏れなく表示するにはどうすればいいのだろうか?」といった先人たちの苦悩と試行錯誤がありました。
いまでは、会計は企業の現状把握や損得の判断だけではなく、未来予測(長期経営計画など)にまで使われるようになっています。
さらに、「お金で計れない価値をどうすれば数値化できるのか?」「未来予測の数字をより正確にするにはどうすればいいのか?」といった問題にも取り組んでいます。
そう、会計はいまでも進化しつづけている学問なのです会計の本質的な考え方本書を読んで、少しでも会計が身近に感じられるようになったでしょうか?そして、会計の本質の一端に触れていただけたでしょうか?にする(「利益」「機会損失」など)、つなげたり違った角度から見たりして物事をシンプルにわかりやすくする(「連結」「回転率」など)-1-といった考え方のことです。
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